たった1%の時間投資でマネジャーは変わる -研修に懐疑的だったマネジャーが変わった-

たった1%の時間投資でマネジャーは変わる -研修に懐疑的だったマネジャーが変わった-

株式会社フューチャーリンクネットワーク/代表取締役  石井丈晴 様

最初に簡単に会社紹介をお願いします。


石井様:

2000年の創業以来、事業として「地域活性化」に取り組み、地域のあらゆる情報を収集・発信するプラットフォームとして地域情報サイト「まいぷれ」を運営しています。

「まいぷれ」は全国600を超える市区町村で実績があり、各地域の地元企業との連携、地方自治体や国との官民協働が当社の強みです。


雑務を積極的に引き取ってしまうマネジャー


マネディクを導入する時点で組織にどのような課題を感じていましたか?


石井様:

創業から20年が過ぎ、社員数も100名を超え、部長やマネジャーといったマネジメントの階層ができてきました。その中で問題意識として持っていたのは、「管理職に何を求めるのか」は言語化できていても、「どうやるのか」「どうあるべきなのか」を提示できていない、議論できていないということでした。マネジメントを体系的に学ぶ機会も、学ぶためのコンテンツも、定着させるための流れも用意できていませんでした。


当社は理念の浸透に力を入れていて、社員やマネジメント層に体現して欲しいことを創業以来ことあるごとに伝えてきました。人数も増える中で、伝えてきたエッセンスを3年ほど前に体系化し、「フューチャーリンクマインドセット(FMS)」と「FMS的マネジャー(管理者)の役割」として全社員に紙で配布するようにしました。

表裏1枚に印刷して、パート・アルバイト含め全員に配るので、フューチャーリンクネットワークはこういう会社だよ、管理職はこういう人たちが務める、というのを全員が認識するようになっています。

FLNの強み


石井様:

私は、経営をする上で自由な形態を好むという傾向が強く、その実現のためには「守るべきことを言語化しておく」必要があると思っています。

「我々はこれを共通認識にしているコミュニティだ」ということで組織のまとまりは作れているのですが、そこから先は管理職任せになっていたというのがこれまででした。

結果、各管理職は自己流や見様見真似で一生懸命頑張るけれど、うまくいかないことも多い。だけれどマネジメントの共通言語にあたるものがないため彼らが何にぶつかっているかを把握することが難しく、上司として相談に乗ることも管理職同士が相談し合うこともままならなかった。言うなれば、マネジメントを任せている各人の考え方やポテンシャルに依存していた状態でした。


たとえばどんな状況が起きていたかというと、部下にやりがいのある仕事やおいしい仕事を持たせたいという思いからマネジャーが積極的に雑務を引き取ってしまう。マネジャー本人は元々忙しいのに、一層業務がパンパンになって、本来彼らに担って欲しい役割やチャレンジに意識や時間が向かない。

私もどう改善を要望すれば良いか正直わからず、彼らも正解を見出せないまま大変な部分があったと思います。

会社が次の成長段階に進むにあたって、マネジメント層のレベルアップは非常に重要なテーマで、かねてから良い方法を模索していました。

そんなタイミングでマネディクを知り、第一印象で「これは今までになかった」「うちの会社に合いそうだ」と感じました。


単なる座学ではすぐに忘れてしまうと分かっていた


具体的にマネディクのどこに魅力を感じましたか?


石井様:

まず、ベンチャーの視点でコンテンツが作られているというのが大きかったですね。我々のようなフェーズの組織にマッチする内容を短い時間の動画で学べ、幅広いテーマを扱っているというのは今までになかったように感じました。

「ベンチャーと大企業のマネジメントは違う」というのは自分自身の経験からも納得感があったし、動画のサンプルをいくつか見た際に「曖昧耐性」「期待値調整」といったフレーズが強く印象に残りました。言葉としてわかりやすくマネジメントに活かせるイメージが持て、これをマネジャーたちが知っていれば「どうやるのか」「どうあるべきか」の目線合わせはしやすいと思いましたね。


そして、学ぶ内容もさることながら、学びっぱなしにせず定着するまでのサイクルを「自分たちで回せるようにする」という自走化のコンセプトが良いと思いました。導入から半年間提供されるコンサルティングサービスを通じて、自社で持続できる取組みにする、というのが魅力的でした。

単なる座学の研修ではすぐに忘れられてしまうのは感覚的に分かっていたし、定期的に学び続けられる、学んだ者同士で高め合うような仕組みを望んでいました。当社は社員に当事者意識を強く求めるので、外のリソースをうまく使いながら管理職が自分たちで成長する構造は当社に合っているなと。

活用モデル



※マネジメントセッション…動画でインプットした1テーマについて、管理職同士で課題や疑問点を明らかにし、各自の経験や考えのシェア、自社と紐づけながら議論をする月1回程度の取組み。テーマに関する理解と実践イメージを深めるだけでなく、ファシリテーターを経営幹部や上位者が務めることで、フィードバックを多く得られる場。


導入を検討する際、社内からはどんな反応がありましたか?


石井様:

理念浸透に力を入れてきたことで自社への愛着を持っている社員が多く、どんなものであれ外から概念や考え方を持ち込むことに対して抵抗感を示す人はいると容易に想像できました(笑)。コンテンツの中身について「ここはうちの考え方とは違うよね」と言う人、学ぶことに対して「忙しい」と主張する人も出てくるだろうなと思っていて、実際にそうした声もありました。


会社へのエンゲージメントや事業へのコミット意識が高いのはもちろん良いことですが、盲目的に自社が素晴らしいとなるのは危険だと思っていて、サステナブルな組織であるためには外を知る、外のリソースも積極的に活用して成長を続けることが重要だと伝えました。

特にマネジメントというテーマについては、「申し訳ないが会社トップの私も教えられない」「社内を見渡しても体系的に教えられる人はいないと思う」と素直に言いましたね。マネジメントに難しさや課題は皆感じているはずで、それが緩和される、うまくできる人やロールモデルが増えることは会社にとってプラスだよね、と。


背中を押した「たった1%でいい」という言葉


石井様:

マネディクの提案を受けた際に、会社の将来に大きく影響するテーマなのだから「毎月1%程度の時間投資を」というのも非常に納得感があったんですよ。全員のスケジュールを合わせるのは月に1回・マネジメントセッションの1時間半、これを惜しんでいたらマネジメントのレベルアップは加速しない、と決断する後押しになりました。

毎月1%の時間投資を



実際にマネジメントセッションの取組みを始めてみてどうですか?


石井様:

初回の段階で「意味があるな」という実感がありました。管理職以上で葛藤や課題を共有することで会社としてナレッジが溜まっていくし、相互理解が進んでいくことも肌で感じられた。回を重ねる中で大半の参加姿勢がより積極的になっていっているのも、当人たちが意味のある時間と捉えている証だと思います。


会社として元々ナレッジ共有には力を入れていたほうだと思っていて、たとえば「無知の知シート」という社内の取組みがあるんです。四半期に一度の全社キックオフなどの際に、誰の話に何を感じたかをスプレッドシートに全員が書き込んで一覧で見られるようにする。会社の目指す姿、事業の価値などについて捉え方を共有するわけです。

無知の知ノート



石井様:

一方で、マネジメントに特化したナレッジ共有というのはあるようでなかった。そもそも教える機会や学ぶ機会がなかったことで、きっかけが生まれていなかったんですね。全員が見られるところで管理職が葛藤や課題を吐露するなんてやりづらいでしょうし、今まで適した場や機会を用意できていなかったことにマネジメントセッションをやってみて気づくことができました。


想像をはるかに超えて相談しあうマネジャーたち


マネジメントセッションで印象的だったことはありますか?


石井様:

ファシリテーターを務めたある部長からの問いかけに対して、新卒上がりの若手マネジャーがその回のテーマに即して「今こういうことで困っています」と率先して話し始めたことが新鮮でしたね。それに対して、同じ女性のマネジャーが自分の経験を話して、次に普段は業務であまり関わらない別のマネジャーが客観的にアドバイスをして、ファシリテーターも見解を伝えるといったやり取りが生まれ、本人が課題に対して沢山インプットを得ていました。

「あぁ、若手マネジャーにとって部署やチームを問わず先輩マネジャーたちからフィードバックをもらえる機会って今まで限られていたな」と気づかされるとともに、「セッションをうまく活用できているな」という実感を得ました。


他に、普段は強気なタイプのマネジャーが「私は実は曖昧耐性が低くて…」と自分が課題と捉えた部分を開示した場面も印象的でしたね。業務の内容、部門・チームに関してだと管理職それぞれが担っているものは異なりますが、同じテーマで自身を省みたり他の管理職と話すことで苦手なことに向き合う、開示してアドバイスを求めることがしやすいのだと感じました。「〜さんはこのあたり得意そうに見えるんですけど、何かコツありますか?」と聴きたい人に聴けるというのもあの場の価値ですね。


マネジメントセッションの4回目(※)でそれまで以上に参加者の発言量が増えたことが印象的で、自走に向け順調に進んでいることを我々も強く感じました。


※マネジメントセッションの1〜3回目のファシリテーションはコンサルティングサービスの一環でJAMが担う。4回目は社内ファシリテーター(それまでにファシリテーター養成講座を修了)で実施する初回で、いよいよ自走の第一段階。


石井様:

立ち上がりを丁寧にしっかり支援いただいたことが大きかったです。

マネジメントセッションが価値ある場だと参加者に実感させ、私を含めファシリテーター養成講座に参加した役員・部長陣に対しても効果的な意義づけ・動機づけをしてもらった。


当初マネディクの導入に懐疑的だった人間が、マネジメントセッションに前のめりに取り組んでいて、「この取組みを通じてFMS的マネジャー(管理者)の役割もアップデートしたい」とイニシアチブを発揮していて、非常に良い意味でのギャップでした。


「教えられるか不安」から「教えられる自信」へ


ファシリテーター養成講座はいかがでしたか?


石井様:

全3回ということで、始まるまではどんなことをやるのか、3回終わった時にどうなっているのかのイメージが正直そこまで湧いていませんでした。

ファシリテーター養成講座の対象にした役員〜部長陣は当然多忙な面々なので、マネジメントセッションに加えて養成講座にも参加することで時間工数の不安・不満は多少あったと思います。

ですが、全3回の初回を受けている最中から、彼らがどんどん前のめりになっていくのを感じましたね。場をデザインすることの大事さ、進める上での細かい配慮の大事さを痛感したのだと思います。


自分自身も「4つの要素・10個のチェックポイント」は非常に参考になって、ポイントが明確なので実践イメージも持ちやすく、お互いにフィードバックもできるので自分たちで上達していくことができると感じました。


養成講座に参加したメンバーは会議など場を仕切る経験を普段からしていますが、フィードバックを受ける機会や一丸になって改善に取り組むということはなかった。講座内での言動や講座の感想から、このスキルアップは全員が欲していたものだなと思いましたね。


講座内でのロープレも非常に良かったですが、一番価値が高いと感じたのは、社内ファシリテーターで初めて実施した4回目の後のファシリテーターに対するJAMさんからのフィードバックですね。あそこまで細かい粒度でフィードバックを受けられるとは想像していなくて、あれだけ明確に言ってくれると本人も改善の道筋が見える。


ロープレの際よりもフィードバックの内容が高次になった印象を受け、真剣にレベルアップをサポートしてくれている、まだまだこのレベルじゃ足りないと自覚させてくれるなと感じました。ファシリテーションのレベルアップだけでなく、マネジメントセッションをもっと豊かなものにできるという期待も膨らみましたね。


管理職が頼もしくなれば、会社はもう一段も二段も成長できる


取組みを始めてから起きた変化や感じられた成果はありますか?


石井様:

取り組み始めてすぐのタイミングから共通言語が生まれた、使われるようになったという印象を持ちました。会議や目標設定面談といった場であったり、マネジャー間のちょっとした会話だったり。

感覚的に伝えるタイプ、言葉にせずとも察してくれというタイプの管理職がマネディクで学んだフレーズを結構使っているのも変化ですね。


共通言語の数としてはまだ多くないですが、同じ概念とフレーズを用いることでコミュニケーションの効率が良くなった感覚がありますね。


たとえば、今までだったら「隣の部署にも声掛けたほうが良いの?どうする?」という会話だったのが、「存在承認」というフレーズが出てきて当たり前に声を掛けるなんて場面がありました。


あとは、業務での関わりが少なかった、関係性が薄かった管理職同士でも話しかけやすくなったというのも感じます。マネディクでのインプット、マネジメントセッションでの対話が共通体験になっていることは大きいと思います。


最後に、今後目指したいことを教えてください。


石井様:

今までは理念共有が図りやすい会社規模だったが、人数は増え続けている。そこに新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、情報共有や関係構築がこれから難しくなるのではないか、会社が変わっていってしまうのではないかという不安を社員から感じるようになりました。

これを乗り越えるには、やはり管理職層が強固である、マネジメントを発揮できることが不可欠だと考えています。

会社の良いところを残しながら大きく成長を続けていくために、今の部長やマネジャーがより経営に近い役割を担えるようになって、そして新たなマネジャーを発掘・育成していかなければいけない。

マネディクの取組みでは「自走化」を目指しているので、マネジメント層を持続的に育成するベース、フレームを自分たちで作り上げていきたいです。


株式会社フューチャーリンクネットワーク

設立
2000年3月
従業員数120名
事業内容
地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の運営 - 地域情報流通事業 - 公共ソリューション事業 - マーケティング支援事業

マネディクで永続的に
効果のある
管理職育成を。