
上場企業が本気で目指す「自律型組織」- マネジメント研修の内製化が事業成長のカギに-

小林様
人財推進本部本部長。マネディクの導入タイミングから携わり、運用プロジェクトの責任者。
当社との定例ミーティングへも毎月参加し、社内ファシリテーターも担っている。
2022年12月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たし、その後も業績を伸ばし続けている株式会社BTM。業績とともに従業員数も順当に伸び続けていた一方で、マネジメント人材の育成課題が顕在化しつつありました。過去に研修を依頼し、組織への共通言語の浸透などの多くの成果を得られた『マネディク』に再び相談をし、マネジメント育成の内製化を目指すことに。今回は、BTM様が実際にどのように内製化を進めていったのか、株式会社BTMの人財推進本部本部長小林様と弊社淺井との対談形式でその軌跡を紹介します。
「マネジメント研修の内省化」が、『自律』した人財を増やす組織につながる
最初に、簡単に会社紹介をお願いします。
小林様:
当社は、「日本の全世代を活性化する」というミッションのもとに、DX推進事業や、IT×人材という切り口で地方創生事業を展開しています。DX推進事業という名目ではありますが、平たくいうとSESと受託開発になります。
受託開発ではウェブ開発だけでなく、クラウドインフラの開発も行っています。また、一番の柱はSESで、売上の約7〜8割を占めています。どこかの領域に特化しているとかはなく、大手Sierや鉄道会社、大手通信業、成長ITベンチャーなど、さまざまな業界の企業様とお取引きさせていただいております。
先ほどお伝えした「日本の全世代を活性化する」というミッションですが、こちらは株式会社JAM(マネディクの前運営会社)にお力添えいただいて、2018年に策定いたしました。
御社は上場企業ではありますが、マネディクを導入した背景をお伺いできますでしょうか?
小林様:
ここ数年、事業成長にともない従業員の人数が増えてきたことがマネディクを導入した背景です。もともとマネージャーの人数が多くない組織ではあったのですが、なかなか全てのメンバーにしっかり向き合いきれないという問題が顕在化してきたのです。また同時に、当社に入って初めてマネージャーになった方も多く、マネジメント経験が少ないマネージャーの割合が多いという課題も抱えていました。
会社組織のマネジメント力がまだまだ弱い現状を打破するためには、マネージャーの人数を増やすことよりも、まずは現状のマネージャーのスキルアップをはかろうということになりました。
上場しているとはいえ、当社はベンチャー企業です。教育や研修に対し、四角四面のごく一般的なものではなく、参加したメンバーが実践での即効性を感じられるコンテンツ、もっと言えば “ベンチャー企業に特化した研修コンテンツ” を持っている企業を探そうということなりました。その際に「それだったら…」と社内から『マネディク』の名前が出まして、お打ち合わせさせていただくことにしました。実は、マネディクの前運営会社、株式会社JAMさんの支援も含め今回で3回目になるんです。
その後研修内容の詳細を聞いたところ、巷によくあるマネジメント研修とは異なり、まさに当社の目指す組織とすごくマッチしそうだと考え、正式に依頼させていただきました。
淺井 :
前回はコロナ渦よりも前でしたので、5年以上前になりますね。今回の受講者の約3割は、前回の研修の受講者でもありましたよね。
小林様:
そうなんです。前回の研修の時は、それこそ初めて役職者になったばかりのメンバーを集めてマネージャー向け研修をしていただきました。それから数年が経って、その時のメンバーが今回は部長クラスになって受講させていただきました。
改めて今回、『マネディク』の研修を導入することにした理由を教えてください。
小林様:
過去に依頼させていただいた際、当時の当社の抱えている課題と研修テーマがとてもマッチしていて、高い満足度を得られた点が大きかったですね。今回の提案でも、『マネジメント研修の内製化』というコンセプトが現在のニーズに非常にマッチしており、それが決め手になりました。
当社は「『自律』した人財を増やす」というバリューを掲げています。つまりは、自分の頭で考えて行動できる人たちが動かす自律型組織を目指しているのですが、その中で、内部でマネジメント育成の循環を作っていきたいという構想がもともとあったんです。
そのため、ただ教わるだけのマネジメント研修は一切求めていませんでした。だからこそ、マネディクの『マネジメント研修の内製化』は当社にとって本当に “ドンピシャ” な提案でした。
実は今回、他の研修会社さんと比較検討してないんです。
マネディクの研修には様々なキーフレーズが登場します。前回の研修では、「葛藤」「AND志向」「階段設計」「曖昧耐性」などがありました。それらのキーフレーズが、当時の研修受講者だけでなく、今もなお会社全体の “共通言語” になっているんです。それほどニーズにマッチし、社内に浸透するようなコンテンツを提供していただいた実績があったので、今回もそのままお願いするのが一番良いよねという判断になりました。
社内のケーススタディを用いて議論することで、学びの納得感が深まる
前半3ヶ月はマネディクがファシリテーションを行いましたが、後半3ヶ月は社内でのファシリテーションに移行しましたよね。それにより感じる変化や影響はありましたか?
小林様:
淺井さんから当社のメンバーにファシリテーターが移行してからは、受講者の皆がリラックスして話しやすい雰囲気になり、議論が活発化されるようになったと感じました。また淺井さんとの事前打ち合わせで、「皆が話しやすいテーマは何だろう?」と議論し、テーマ設定したことも功を奏したと思います。
淺井 :
事前の打ち合わせでは、「歩んでいってほしいストーリー」をあらかじめ決めて、そこから毎回のテーマも設定していきましたよね。マネディクのお勧めとしては、まずはマネージャーとしてこれからどのような視座で仕事をするべきなのかという目線を全員で合わせることです。その後、人の上に立つ者として必要な影響力を高めることで、生産性を下げずにメンバーの育成も両立できるようになるといったストーリーです。BTM様も、基本的にこれに沿ってテーマを設定していきましたよね。
小林様:
はい、まさにですね。さらに、会社の「Now」に沿ったテーマを実施したいという要望について、カスタマイズして取り入れていただいたのも良かったです。
ただ、やはり最初はファシリテーションがすごく難しかったですね。あらかじめ淺井さんに、「マネディクのメンバーのようなファシリテーションは求めていないので、同じように出来なくて良いですよ」と言っていただいてはいたものの、全体を冷静に俯瞰しながら回していくことや、参加者の意見の引き出し方に大変さを感じました。
やはり複雑なテーマだと、議論の際に誰からも意見が出なくなってしまって、「あ、今シーンとしちゃってる」と内心焦ることもありました(笑)。
ただ、ファシリテーターを務めた私と事業部長の3名は、とてもモチベーション高く取り組めたと思います。誰かがファシリテーションする際は、他の3名が参加者の立場からしっかりサポートを行うようにしました。そこに信頼を置けたことが、自分たちでファシリテーションを行う難しさを乗り越えられる要素になったと思います。
淺井 :
ファシリテーションを移行してからは、セッション中、社内の事例で皆さん盛り上がっていて、私だけ置いてけぼりになることもよくありました(笑)。
でもそれ自体が、ファシリテーションを社内で回していくことの一番の価値だと考えています。私たちがお伝えすることは、あくまで一般論や他社事例にとどまってしまうので、BTMの皆さん自身が自社のケーススタディをもとに議論し、学びに対して納得感を持たれている様子はとても印象的でした。
小林様:
そうですね、参加者からもそういう声が多かったです。マネディクからのエッセンスを学ぶだけでなく、社内で実際に起きた課題を共有して、皆でそれについて議論することで、その当事者も含めて「そうか、こういう解決策もあるんだ」「なるほど、それもいいね」という風に、引き出しを増やしていけたのも良かったです。
横断コミュニケーションを促進することで、経営目線を醸成し、離職率を大幅改善
参加者の満足度はいかがでしたか?
小林様:
セッション参加者の約9割が、行動や判断への影響を実感したと答えています。また、マネジメントにおける手法や課題を言語化できるようになり、社内でのコミュニケーションにて “共通言語” の使用頻度が増加したと感じます。中には、重要な意思決定を議論する際に使用されている事例もあります。
また、今回の参加者は、彼ら自身が目の前のマネジメントに課題を感じていて、「何とかしなきゃ」という意識の人たちばかりでしたので、課題のケーススタディも具体的なものがどんどん出てきました。それによって、「みんな同じ悩みを持っていたんだな」というようなある種の安心感や、「自分では考えられなかった発想を得られた」という発見があったと聞きます。参加者は理解力が高いメンバーばかりなので、すぐに「それ使えるな」と思えるものが多かったという声も複数あり、マネジメントの引き出しを増やす効果があったと考えています。
また「今後もマネジメントの悩みを共有する場を継続してほしい」という声もありました。当社は普段、事業部を横断して連携する機会ってけっこう少ないんです。私は人事なので全ての事業部のメンバーと会話する機会があるのですが、各事業部のマネージャー同士が悩みを相談し合うことはあまりなかったと思います。
実際にマネージメントに取り組む姿勢や意識にどのような変化が起きましたか?
小林様:
実は2021年頃に離職率の高さが問題になったのですが、その時と比較して半減しているんです。当時は、事業部長やマネージャー陣から、会社の方針や取り組みに対するもの、また経営陣からそれらの情報連携が不十分であることが、不満として上がることが多かったですね。
今回の研修もそうですが、それ以前より、各事業部長やマネージャーに対し、自分たちの部署のことだけ見て意見することをやめ、全社目線・経営目線を持つ意識を醸成するようにしてきました。自部門の課題に対して他責傾向が強かったのが、徐々に課題に対してしっかりと向き合えるようになったと感じます。
当然、経営陣もしっかり自責でとらえ、情報やメッセージの伝え方が足りていなかったと内省し、事業部長や組織に対し丁寧にコミュニケーションし続けました。それにより、事業部長やマネージャーの視座を高める効果は少なからずあったと思います。
マネディクが毎月立ち会ってセッションをする段階が終了されましたが、これから社内ファシリテーターなどを活用してどのような組織づくりを目指していますか?
小林様:
今回の研修のコンセプトであった『マネジメント研修の内製化』を、今期からしっかり実施し、当たり前のように循環させていくところを目指したいと考えています。また、これからは今回の受講者層よりもうひとつ下の課長層にも研修を実施していきたいと考えています。引き続き、私もファシリテーターを担っていこうと思っています。
淺井 :
改めて今回、御社の「『自律』した人財を増やす」というバリューと、『マネジメント研修の内製化』との相性の良さを感じました。事業部長やマネージャー陣への伝達も、ただ教えるだけではなく、いかに当事者意識を持ってもらえるか、どうすれば “自律”的に行動できるようになるかを考え、実践されているのが素晴らしいです。だからこそ、これだけ資産性の高いカルチャーができているのだと感じますし、きっと内製化もうまくいくと思います。
組織改善からなる増収増益。マネディクは成長ベンチャー企業にこそマッチする
会社全体への影響はありましたでしょうか?
小林様:
離職率・定着率の改善の影響も大きく、その改善はマネージャー陣の多大なる尽力があってこそです。そういう点でもマネージメント力の重要性を改めて感じました。また、売上も順調に伸びてきています。
淺井 :
素晴らしいですね。組織への投資は、結果が出るまでに時間がかかりますし、その間プレッシャーもかかり続けると思うのですが、その分うまくいった際には大きくレバレッジが効くものだと、改めて認識させていただきました。
最後に、マネディクの導入を検討されている企業様に向けて一言メッセージをお願いします。
小林様:
ベンチャー企業にとって、本当にマッチするサービスだと思います。
これまでの人事経験の中で、いわゆる型にハマったような研修を自身が受けたこともありますし、社内で展開してきたこともあります。ただそういう研修の効果は、一瞬だけなことが多いんですよね。終わった直後は、「良いもの得られたぞ」と思うのですが、結局その後に活かせなかったり、学びを継続できなかったりします。また「それは分かっているんだけど、その先を教えてほしい」と思ってしまうようなテーマ設定の研修も少なくないと思います。
ですがマネディクは、社内のケーススタディも活用しますので、すぐに具体的に活かせるイメージが沸くんですよね。“共通言語”も含め、メンバーに本当に浸透する研修を実施してくれると思います。
それから、マネディクで掲げる『マネジメント研修の内製化』というのは、“当事者意識を持った人” を育てるというテーマのもとストーリーに沿って進めてくれるので、再現性が高く、その様な人材を増やしたい企業にはまさにピッタリではないでしょうか。
もちろん導入後、社内で研修を運営していくのは大変ではありますが、当社の場合は「『自律』した人財を増やす」というバリューがありましたので、そこはもう「労力をかけて実施するものである」と覚悟を決める良いきっかけにもなりました。その様な意味でも導入して本当に良かったですね。
それなりの先行投資にはなりますが、それだけのリターンは感じています。自信を持って、オススメできるサービスです。
設立 | 2011年 |
連結従業員数 | 約174名(取材時) |
事業内容 | DX推進事業(DXに関わるITシステム全般) |