マネジメント研修とは? 設計方法、運営の流れ、研修後フォロー、活用できる助成金の紹介

[人材育成] マネジメント研修とは? 設計方法、運営の流れ、研修後フォロー、活用できる助成金の紹介

2021.04.28

 マネジメント研修とは、企業の中でマネジメント業務を行うレイヤー(事業部長〜課長クラス)を対象とした研修のことを指します。本記事ではマネジメント研修を実施する際に必要な準備から研修後のフォローまでの流れをご紹介します。

マネジメント研修を開催する前に

現状把握のための3つの問い

 最初にすべきことは「現状把握」です。具体的には「対象者が現在抱えている問題を把握すること」といえます。
 以下3つの問いを設定し、回答ができる状態を目指しましょう。

適切な現状把握の前に研修の内容設計を行うと「とりあえず研修を開催しただけ」になる可能性が上がります。「理想と現状のギャップを埋める」意識を持ち、その上で研修の内容設計をすることが大切です!

目標レベルを具体化するための3つの問い

 課題がクリアになった次にすべきことは「目標の具体化」です。対象者に何を求めるのか? それをどのレベルで求めるのか? を明確にしていきましょう。
 以下3つの問いで整理しましょう。

現状と目標レベルのギャップ整理

現状の把握をし、目標の具体化を行った後には「現状と目標レベルのギャップ整理」をしましょう。

この際に、そのギャップを埋めるためには「カッツモデルのどこに該当するか?」を意識することで具体的に整理がなされます。

上記を調整することで効果的な研修の構成となります。

マネジメント研修当日までの諸準備

研修テーマが確定すると、次は実施形態の検討に移ります。費用・日数・時間・役割・形式・参加資格・会場の7項目を決定することでスムーズに当日を迎えられるでしょう。

諸準備①|費用の検討

まずは総予算を決定します。
外注するのではあれば「研修プログラムの企画費用」や「講師派遣費用」、研修会場を借りる場合は「施設利用費用」「備品レンタル費用」、それ以外にも「お弁当などの諸費用」「移動交通費」「宿泊費」など… 想像以上に費用が必要となるのが研修です。

諸準備②|日数の検討

次に総開催日数を決定します。
対象プログラムを実施する上での必要開催日数を事前に算出しておきましょう。

例えば、対象者が100名いる場合には以下のパターンが考えられます。
①10名を10日程に分けて開催
②25名を4日程に分けて開催
③50名を2日程に分けて開催

尚、開催日数(日程)が増えれば増えるほどに費用が追加でかかることは認識しておきましょう。

諸準備③|時間の検討

日数と同時に時間の算出も行います。

プログラムコンテンツそのものの必要時間に加えて「導入や締めくくりの挨拶の時間」や「休憩時間」「懇親会の時間」など必要時間を算出し、想定時間内に収まるかを確認する必要があります。

諸準備④|人事担当者の役割の検討

マネジメント研修を外注するのか? 内製化(自社内で実施)するのか? を決定します。

プログラム企画・設計及び講師派遣において全て外注するパターンもあれば、それら全てを内製化するパターンもあり、また外注と内製化の混合パターンもあります。

外注と内製化のハイブリッドは「大枠は外注とし自社ケースを提示する部分のみ内製で行う」というパターンが一般的です。具体的にはプログラムの企画・設計を外注し、講師/ファシリテーターで内部人材を登用することで実現できます。

諸準備⑤|形式の検討

集合型で行うのか? eラーニングで行うか? などの形式を決定します。

集合型研修は参加者が研修会場へ一堂に会して行う形式ですが、eラーニングの場合は設備さえ整えば対象者の都合に応じて自由に場所を選んでもらい研修の受講が可能になります。
集合型は同じ時間・同じ場所を共有することによるチームビルディングの側面もありますが、eラーニングは勤務地・勤務時間を問わない学びの提供が可能となります。
それぞれのメリットと目的を照らし合わせて形式を決定することが重要です。

諸準備⑥|参加資格の検討

召集型で実施するのか、参加希望を募るのかを決定します。

召集型の場合は「強制的に受講を促す」ため、本人の意欲が不明という側面があります。一方で参加希望を募る場合は「自ら研修に申し込ませる」ため、高い受講意欲の参加者が集まることが予想されます。

参加者の受講前のモチベーション状態を考慮し、必要に応じて動機付けや実施目的の伝達が必要となります。

諸準備⑦|会場の検討

社内の施設を利用するのか、外部会場を利用するのかを決定します。

社内の施設の場合は追加費用が発生しない等のメリットがありますが、研修会場と職場環境が近く、業務に気を取られる等で研修に集中できない参加者が発生する場合があります。
外部会場の場合は気持ちの切り替え促しは図りやすいですが、追加の費用は発生します。また、参加者がアクセスしやすいエリアか、また会場の設備は整っているか(窓やプロジェクターの有無、Wi-Fi環境の整備など)に注意して選定することも必要になります。

マネジメント研修の告知方法

 マネジメント研修を実施する際の受講者への告知方法をご紹介します。

「召集型」と「参加募集型」

 「召集型(参加者を人事担当者が選定する場合)」か「参加募集型(=参加希望者を募る形式)」かのどちらかで効果的な研修の告知方法は異なります。

 受講者は「忙しい業務を抜けてまでマネジメント研修に参加する必要があるのだろうか…」「なぜ自分に声がかかったのだろうか…」とモヤモヤを抱えている場合が多くあります。多忙なマネジメント層ならば尚更です。
研修開始時に研修に向き合うマインドセットができていないことは「本人にとっての学び損失」だけではなく「集中できていない人と同じグループになったその他受講生の学び損失」にもつながります。

「召集型」の場合

 召集型でマネジメント研修を実施する場合は、研修事務局からと直属の上司からのタブル告知が効果的です。

「召集型」の場合|研修事務局からの告知

 自社の人材育成に対する考え方に基づき、本人の立場や能力に対する研修企画の意図を伝えることが重要です。

 会社の方針に基づく人材育成ポリシーも共に伝えることで、例えば「現在のマネジメント層からもう1〜2段階上の視座が必要」といったメッセージを伝えることが可能になります。

 ただ単に日時や場所を伝える「情報伝達機能」や遅れずに参加するよう促す「リマインド機能」に留まらず、意図をプラスアルファで伝達することを意識しましょう。

「召集型」の場合|上司からの告知

 研修参加に対する「期待」を伝達してもらうことが重要です。

 これにより「忙しい仕事を抜けてまで行く必要があるのかな?」「なんで自分に声が?」とネガティブな疑問を解消することができます。
 さらに上司から自分への期待を受け取ることで、ポジティブな動機付けにもつながります。

「参加募集型」の場合

 自ら研修に申し込んでいるため、基本的には受講意欲の高い参加者が集まっていることが想定されます。そのため、事前の声かけがなかったとしても大きな問題はありません。
 しかし、より一層高いモチベーションの状態で研修当日を迎えられるように「事務局からの告知(+上司からの声かけ)」という形を目指しましょう。

「参加募集型」の場合|研修事務局からの告知

 召集型と異なる点は「どのような人にオススメか」「受講することでどのようなメリットがあるか」などPR要素が強いことです。
 多くの参加者に参加させることを目的とせず「どのような人に参加してほしいか」「そのためにはどのようなPR方法が適切か」という観点から告知を工夫することが重要といえます。

マネジメント研修当日までの受講者の興味喚起

 研修当日までの時間の使い方が、研修当日の学びを最大化できるかどうかに大きな影響を与えます。尚、アセスメント研修のような普段の実力を測定することが目的となる研修は例外です。

 研修当日までに具体的にすべきことは「事前課題の設定」です。
 事前課題は大きく「課題図書の読書」「フィールドワーク」「自己の振り返りワーク」の3つがあります。

受講者の興味喚起①|課題図書の設定

 研修テーマに基づく課題図書を設定することで、テーマに対する理解の土台が整う効果があります。また、書籍の要約だけではなく、自身が感じたこと/自身の学びを整理させると、より自分ごととして研修テーマを理解することにつながります。

受講者の興味喚起②|フィールドワークの実施

 他者へのインタビューのようなフィールドワークを課すことで「受講者が自然と新たな関係性を構築する」「自発的な関係構築の中で学びを得る」などの効果が期待できます。

 フィールドワーク例(研修テーマが「新任マネジャーに管理職としての視座を与える」の場合)
 「自社の中で優れたマネジャーだと思う人は誰でしょうか? その方のマネジメントポリシーをインタビューし、自身に取り入れたいと感じた部分をレポートしてください」

受講者の興味喚起③|自己の振り返りワーク

 研修テーマに基づき、内省する機会を設けることで自身の現在の力量を知ることが可能になります。それにより、受講者が自ら自発的に目指す姿とのギャップを捉えることが可能になります。

振り返りワーク例(研修テーマが「マネジャーに必要な影響力」の場合)
「自身がマネジメントを行う中で、部下に対して影響力を発揮したと思う場面はどのような場面ですか? その時の状況を具体的に教えてください」

マネジメント研修を自社で内製化する場合の講師選定とフォロー

 研修を内製化する場合、難易度が高いと感じられる点に「講師の選定」と「講師のフォロー」の2点が挙げられます。自社の社員に講師を依頼するからこそ気をつけるべきポイントをご紹介します。

講師選定のポイント①|人前で話すことに慣れている人

 人前で話すことに慣れている人を講師として選出することが大切です。

 苦手意識がある・上手に話せない人をアサインする場合は、技術面だけではなく意識面への根本的アプローチも必要となります。
 これには時間がかかるため、内製化スタートの時点では避けた方がベターでしょう。

講師選定のポイント②|社内で良い影響力を持っている人

 社員が講師を担う場合、「何を」言うかよりも「誰が」言うかで受講者の取り組み姿勢が変わってしまいます。

 外部講師を登用するメリットのひとつが「講師の専門家としての存在感を受講者が無条件に認めた上で研修がスタートすること」にあります。

 社内でこの状態を達成するためには、成果を残していることで周囲から一目置かれていたり、人望があるために周囲から頼りにされていたりなど、良い影響よくを持っている人を対象とすることが良いでしょう。

講師へのフォロー①|プレゼンテーションスキル

 日常的にプレゼンテーション及びプレゼンテーションのブラッシュアップの機会に恵まれている人をアサインするべきでしょう。

 例えば、人事として学生の前で話す機会が多い、営業マンとしてお客さん先で話す機会が多いなど、人前で話経験を多く持っている人は、職種に関係なくいるはずです。

講師へのフォロー②|プログラムコンテンツ理解

 自分が理解することと、相手が理解できるように伝えることには大きな開きがあります。研修の意図・背景・具体的なワーク内容を伝達し、その上で実際にデモンストレーションを繰り返すことで「慣れ」を獲得していくことを目指しましょう。

マネジメント研修の開催後にすべきアクション

 研修の目的は「行動変容」です。研修の内容を確実に定着させ、受講生の行動が変化し、日々の業務の質が向上すること目指すために、研修後のアクションを大切にしましょう。

学びの定着を目指す|学びを職場でシェア

 研修内容を定着させるための一番の手段は「誰かに教える」ことです。
 これはアメリカの国立訓練研究所が発表した学習定着率を示す「ラーニングピラミッド」でも明らかになっています。

 多忙でも朝会や定例会議などで10-15分ほどシェアする時間を設けるだけで十分です。「研修後にはシェア」を定着施策にしましょう。

研修後のシェアは受講者本人の学びが深まるだけでなく、職場全体の学びにも繋がります!

マネジメント研修で活用できる助成金

 マネジメント研修を外注で実施すると比較的高額な料金が発生します。
 一定の条件を満たすことで、厚生労働省が提供する人材開発支援助成金や東京都が提供する東京都中小企業職業訓練助成制度などを活用することができます。自社の状況や研修の実施形態を確認し、事前にチェックしておきましょう。

サービス紹介資料

株式会社JAM / 小西修平

この記事を書いた人

株式会社JAM / 小西修平

ベンチャー/成長企業向けの組織コンサルティング、研修、管理職育成パッケージ「マネディク」などを提供する株式会社JAMでマーケティングを担当しています。立教大学経営学部卒。日本の就労観を変革したい。自身が素敵な就労観を持ちたい。そんな思いで情報発信しています。